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生きづらさ研究会とは

人は誰も生きづらい話を持っており、​そしてそれは誰が聞いても「わたしのこと」である。

各自が生きづらい話をし、その生きづらさを研究する会です。

「当事者研究会」をベースにした自分を助け、お互いを助けるための集まりです。

〈会の流れ〉(全3時間)

  1. 自己紹介。本名、HNなど呼んでほしい名前と本日の体調、最近の様子を語ってください。(15分)

  2. 約束事を確認します。(15分)

  3. 第一部。各自テーマに沿って準備してきた話をします(一回五分のタイマーをかけます)。周りは聞くことに集中し素直な反応をしていきましょう。語る中、語った後で気になる部分があればとりあげます。書記がホワイトボードにそれを書き込んできいきます。(1時間)

  4. おつかれさまでした、ちょっと休憩しましょう。雑談の最中にも新しい発見があるかもしれません。(15分)

  5. 先ほど出された要素をみんなで研究していきます。(1時間)

  6. それぞれ本日の成果を報告し各自の発見を祝います。おつかれさまでした。よろしければアンケートのご記入をお願いします。(15分)

〈約束事〉

  1. 話していてキツいと思ったら無理をしないでください。「今、ここ」を大事にしてください。

  2. 自分のつらさを「自分の言葉」で話しましょう。あなたの苦労はあなたのものです。誰に邪魔されるものでもありません。

  3. 聞くことでも価値観や知識はアップデートしていきます。聞き手側の時は素直な反応を心がけ「違い」や「共感」を感じてみましょう。

  4. ​この場は専門家が主導するものではありません。「元気にならなければならない」「正解を見つけなければならない」「なんとかしてあげなきゃいけない」といった目的意識もゆるめて、自分を楽にしていきましょう。

  5. この会は「匿名性」と「秘匿性」を大事にしております。個人の特定できる形で外部に許可なくもらさないでください。特定のできない形、もしくは本人の許可があった場合は気になった発言や研究内容などを公開していただいてもかまいません。安心・安全な環境を保ちます。

  6. ここであなたに起きる変化はすべて自己責任です。なにをどうとらえどう解釈するかといった自己決定の権利を誰かが奪うことはできません。あなたは大事な人であり、その大事さは他の参加者に対しても同様のものです。

ベースとなる「当事者研究会」の解説

《はじまり》

もともと​当事者研究会は北海道の「べてるの家」をはじめとした統合失調症などをかかえた当事者たちが自分を助ける、お互いを助けるための会として始まりました。

  1. 問題がおこる時にはパターンがある。

  2. そのつらさへの対処には“やってはいけない”と“やらずにはいられない”というもがきがある。

  3. やってしまったことと届いてほしい思いのギャップは自分と他者とのギャップにもなる。そのことに自分も他者も気づきにくい。

  4. 今おこっている自分の現実と周囲とのギャップは未来への希望と生きがいを失わせる。

  5. そういったものを取り戻すためには前向きに取り組む姿勢が必要である。

《方法》

〈準備〉

 ・まず来る前に一人で自分の苦労、つらさを外部に話せるように「外在化」する。外在化の作業を通して問題の染み込んでいない新しい見方へと開かれることを目指す。外在化とは自分がおちいっている問題を取り出し、名付けるなどして客観化あるいは人格化すること。その問題を個人の特性や人間関係に内在する特性に戻さないようにする。

〈対話〉

 ・自己紹介で自分を開いて仲間と共有する。冒頭で参加者全員が今日の調子と最近の経験を語る。

 ・持ちよったストーリを話す(外在化、共有)。「弱さの情報公開」をする。ボードや紙に要素を書き込んでいく​。

 ・一通り話し終えたら書き出された要素を皆で研究していく。興味、関心によるワクワク感を大事にする。

〈研究〉

  1. 繰り返しおきている出来事やおきている問題の意味や良いところを探る。すでに解消された問題についてもその成果や発揮された「自分の助け方」を振り返ることもある。ロールプレイや、ボードにイラストや図などを書いたりといろいろな方法で吟味する。

  2. 起きている問題にどう対処してきたのかを振り返る。爆発や脅迫的な行為も「自分の助け方」の一つとして受け止める。

  3. とってきた対処法の結果は? とってきた対応の効果や満足度から、さらなる新しい方法を探していく。

  4. ​「新しい自分の助け方」を具体的にする。やっているところを想像する。その効果や満足度を見きわめ、さらなる対処法を考える。

 

《その後の展開》

当事者研究の最大のポイントは自分のかかえる様々な生きづらさに対して、周りの過剰な保護や反応を気にせず自分の力で前向きになることです。その気持ちを持ち続けるためのネットワーク作りが可能です。

​自らを語ることで「助けを求めること」を容易にし、孤立を防ぎます。人とのつながりを作ることで自尊心を高め「助けてあげられること」が自らの癒し・回復にもつながります。

周囲の環境(社会保険、社会福祉制度など)に気づき、お互いの理解の促進とそれを整えるための努力をしていくことがより生きやすい環境を生み出していきます。

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